革修理｜東京都 世田谷区の革修理なら革研究所 世田谷店

こんにちは

革研究所 世田谷店です。

 

グッチ ショルダーバッグのご紹介です。

とても古いショルダーバッグです。

パイピングに穴が開いた箇所がありパイピングや革部の色はげが目立ちます。

ショルダーストラップも傷みと革の劣化が大きく普通に使うことができない状態でした。

いつか直して使おうと思い保管していたそうで修理してほしいとのご依頼をいただきました。　

 

Before　お持ちいただいた状態

Before  ショルダーストラップのベルト周りは革が傷んでほぐれたようになっていました。

Before

After 　　

Before　

After　　　

Before　パイピングがすれて革が欠損し穴が開いていました。

　

After　パイピングの革を交換せず穴を樹脂で埋めて目立たなくする方法で目立たなくしました。

Before　　

Before  横から見ると革がすり切れているのが分かります。

After　浮いた状態の革を接着し樹脂で亀裂した箇所を埋めて目立たなくしました。

Before

After

Before　この状態になると革そのものを直すことはできません。

After 　合うような革で作成・交換しました。サイズを合わせ同じような色のステッチにしています。

Before

After

 

グッチの古いバッグは人気があるそうでお母様やご親戚の方から譲り受けられたバッグの修理を

してほしいと若い女性の方からご依頼をいただくことがあります。

 

今回ご依頼いただいたバッグですが初めて拝見するグッチの金具ロゴのタイプになります。

文字も筆記体になっており相当古いものなのではと興味がわき気になってネットで調べてみましたら

70年代～80年代に使われていたロゴのようで限定品やオーダーメイドの高級ラインに

使われていたそうです。

 

ご依頼のバッグも今でも通じるデザインだと思いますがさすがにここまで古いと

経年と長いご使用で革はどうしても傷んだり劣化してしまいます。

 

状態はといいますと年相応でパイピングに穴が二箇所開いておりそれ以外の箇所も色がはげて

表皮が削れた状態になっておりショルダーストラップは使える状態ではありませんでした。

幸いなことにGGマークの入った樹脂コーティング部分は使用感はあるものの傷みや

変色はありませんでしたがこの状態になると全体的に古ぼけた感じが出るので

使うのをためらってしまうと思います。

 

お客様は以前に同じグッチの財布の染め直しの修理のご依頼をいただいた方でこちらのバッグも

修理してほしいとお持ちいただきました。

 

このような場合の修理ですがパイピングなどは新しい革で巻き直すこともできますが

バッグを分解して交換となるので費用はかかる内容となります。

どこまでの状態まで直されたいかご希望をお聞きして目立たなくしてほしいとのことでしたので

革の交換ではなく開いた穴を樹脂で埋め色のはげた箇所を補色・補修する方法を

ご提案してご了承をいただき修理を進めました。

 

ショルダーストラップに関しては革の傷みと劣化が大きいので革そのものを

直すことができませんので新規に作成交換となります。

 

修理の工程ですが

 

●クリーニングして汚れを落とす

　色がはげて表皮がなくなった箇所は水分を使用すると革の劣化が進行して

　硬くなったりひび割れしまう場合があるのでそれ以外の箇所を行いました。

　樹脂コーティング部分もクリーニングしています。

 

●革部の補修

　革の補修溶剤を浸透させ乾燥した後 軽く研磨してざらつきを抑え荒れた感じを

　周りになじむようにします。

　この工程を何回か行い滑らかな感じにしていきます。

　その後 色合わせをして塗料を調合し少しずつ補色しますが水分が染み込むと

　色が濃くなるので感じを見ながら補修跡が残らないようにします。

 

●パイピングの穴開きの補修　

　穴の周りは革が浮いているので接着剤で固定した後

　樹脂に色合わせした塗料を混ぜて塗布します。

　樹脂は元は液状で一回では厚みがでませんので塗布と乾燥を繰り返し

　積層していきます。

　ある程度厚みが出たら研磨して形を整え周りになじむようにします。

　起伏のある革なのでその感じは再現できず多少の色の差異は出ますが

　大きい穴ではないので目立つことはありません。

●革部全体も補修溶剤を浸透させ すれ・革質の改善

●仕上げに色止め・ツヤ感の調整のクリアー塗装

となります。

 

クリアー塗装ですが革部・樹脂コーティング部分と全体に行っています。

樹脂コーティング部分が大半なのでクリアー塗装をすると全体が自然なツヤ感になって

落ち着いた感じになります。

また塗料の膜が一層できるので汚れが付きにくくなる「防汚効果」もあります。

 

色はげの箇所が多いので修理すると色が濃くなって感じが変わるのではという心配もありましたが

さほど印象が変わることなく目立たなくできました。

ショルダーストラップも同じような色・感じの革で作成しています。

修理で使用感は薄れストラップも新しい革で丈夫ですので問題なくご使用できるように

仕上がりました。

古くなって使えなかったものを修理してまた使えるようにすることはとてもいいことだと思います。

お客様にも仕上がりをご覧になってたいへん喜んでいただくことができました。

ご依頼をいただきありがとうございました。

 

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