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2024/11/20

【Hermes 財布 修理】エルメス ベアン色のはげた財布の染め直し・コバ樹脂のはがれの再生

こんにちは

革研究所 世田谷店です。

 

エルメス ベアン 長財布のご紹介です。

 

素材はカーフレザーの型押しになります。

きれいなピンク系の財布ですがご使用と経年で色のはげた箇所もあり使用感が出ています。

端のコバ仕上げの樹脂部分もすれており全体をきれいにしてほしいとのご依頼です。

 

Before   

After  

Before 白い付着物の付いた箇所がありました。

     Hの金具のメッキのはがれから長いご使用が分かります。 

After  目立たなくできました。

Before   

After  財布本体のピンクの色とコバ樹脂の茶系の色の輪郭が甘くなっていましたが

     コントラストがはっきりしました。

Before  裏面側の折れ曲がり部分は財布の重みですれが大きいです。

 

After   

Before     

After 

Before ストラップを覆う革が延びてずれていました。

After  ずれは完全には戻りませんが修正できました。

Before 内側の革が膨らんで盛り上がった部分は色がはげています。

After 染め直しで色も乗り目立たなくなりました。

    エルメスのシルバーのロゴ部分もマスキングして残しました。

Before

After   

 

エルメスのベアンの財布はシンプルなデザインで薄型の財布ですが収納力もあり

人気が高いそうで修理のご依頼をいただくことがよくあります。

ブランドの「H」をかたどった金具が特徴で一目でエルメス製だと分かります。

 

財布の修理ですが色はやはり黒や茶系のものが多いのですがエルメスの財布の場合

黒い財布のご依頼はまれでベージュやピンク系・青系のものが多い印象です。

上質な革を使って作られていることもあり素材感を活かしたきれいな色が

特に女性の方には好まれているのではと思います。

 

ベアンはいくつかの種類があるそうですが

今回の財布はその中の「ベアン 2PLIS」という名称の財布になるそうです。

カードホルダーも10枚分ありたくさん入るタイプなので使い勝手がよさそうです。

 

お客様は気に入っており長く使ってこられたそうですが経年もあり

色がはげた箇所やコバ面の樹脂のはがれやすれもあり使用感が出てきていました。

 

きれいな色や発色のいい色は最初のうちはいいのですが汚れたり黒ずみが

一定の線を超えるとどうしても使用感として出てしまいます。

 

財布は日々ひんぱんに使い人目にも触れるのできれいな状態で使いたいですよね。

ブランドのお品だといっそうです。

 

お客様は修理しようと業者を探されたそうで当方のエルメスの財布の修理事例のブログに

いきあたったそうでお問合わせをいただきお持ち下さいました。

 

このような場合の修理は革の下地を補修して全体を同色で染め直しをする方法となります。

 

施工の工程は

●クリーニングして染みこんだ皮脂などの脂分を抜く脱脂処理

 使い込んだ財布は汚れており革が型押しの革で凸と凹があるので

 ブラッシングしてしっかり汚れを落とします。

 

●軽く研磨して塗料の密着性を上げる下処理

 柔らかい革やステッチ糸を傷めないように注意しながら行います。

 

●非施工面のマスキング処理

 カードホルダーが多くファスナー面・札入れもあるのでマスキング処理は時間がかかります。

 コバ面の樹脂の部分はとても細くまっすぐではないのでテープを貼るのに苦心します。

 コバ面よりにマスキングして塗りもれの箇所がでないようにして

 革の色とコバ樹脂の色の輪郭がはっきりするようにします。

 

●折れ曲がり部分やフラップ・その周りのすれ・色はげを部分補修

 革の補修溶剤を浸透させ乾燥後軽く研磨して荒れた感じを抑え周りになじむようにしていきます。

 あまり研磨すると革押しの感じが変わってしまうのである程度までとします。

 

●全体も同様に補修溶剤を浸透させてすれ・革質を改善する下処理

 

●色合わせをして塗料を調合し色を均一にする染め直し

 白系や微妙な色合いのものの色合わせは難しいので試行を繰り返し行い

 色を合わせていきますので毎回時間がかかります。

 今回も納得のいく色を出せるまで苦心しましたがおおむね色を出すことができました。

 

●仕上げに色止めとツヤ感の調整のクリアー塗装

 塗布すると塗料の膜が一層できコーティングされた状態になるので

 汚れが付きにくくなる防汚の効果もあります。

 今回は薄い色になるので多めに塗布して効果を高めるようにしました。

 

となります。

 

本体のピンクの革面の染め直しが終わるとコバ樹脂の再生を行います。

色合わせをして茶系の塗料を作りコバ剤の樹脂と混合して塗布します。

樹脂は元は液状なので一回では厚みが出ませんので塗布と乾燥を繰り返し積層していきます。

 

ある程度厚みが出たら研磨して形を整えますがエルメスのベアンは

薄い革で縫い合わせてある面がとても細い仕様なっています。

再生は筆塗りになりますがピンクの革面に色がにじまないようにしなければならないので

気を使う作業となります。

 

難しい色でしたが色もほぼ合いましたので染め直しで色はげを目立たなくでき

全体も均一な色に戻せました。

革が少しカサついた状態になっていましたが革の補修溶剤の効果で革に潤いも戻り

しっとりした感じになっています。

 

コバ面の樹脂もにじむことなく再生できましたのでぼやけたようになっていた

色のコントラストもはっきりしています。

 

使用感は薄れ気になる点は改善できましたので気持ちよく使っていただけると思います。

お近くにお住まいの方でしたが仕上がりをご覧になって

たいへん喜んでいただくことができました。

ご依頼をいただきありがとうございました。

 

修理は傷みが少ない内が仕上がりもよく費用を抑えることができます。

傷み始めたら早めのご依頼をおすすめします。

 

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修理 補修 染め直し 縫製やファスナー交換を承っています。

エナメル素材も対応いたします。

 

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