革修理｜東京都 世田谷区の革修理なら革研究所 世田谷店

こんにちは

革研究所 世田谷店です。

 

カッシーナ キャブ チェアのご紹介です。

ヌメ革がご使用や経年でシミや変色が多く目立つので

黒にカラーチェンジにしてほしいとのご依頼をいただきました。

 

Before　　

After　

Before　　背中はシミが目立ちます

After　　

Before　ヌメ革のエイジングも進むと味わいを超えてしまいます

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Before　　座面は直接触れる部分なので濃くなっていました

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Before

After

Before　端のコバ面が使用や経年で荒れていました

After　荒れた部分を抑え樹脂を再生しました

 

高級家具メーカー カッシーナの定番アイテムのキャブチェアになります。

発売開始は1977年とのことでロングセラーモデルです。

デザイナーは高名なイタリアのマリオ・ベリーニという人で建築家だそうです。

型番は412のタイプになり一番シンプルなデザインで他にアーム付きのチェアや

ベンチタイプもあり色も何種類か出ていますが一番よく見かけるのが

ヌメ革のタイプではないでしょうか。

 

キャブチェアは鉄製のフレームに堅牢で厚みのある革をカバーしてあるので

革の滑らかさと沈み込みで座り心地もよく全部革なので他にはない高級感もあります。

よくお店や商業施設に置かれているのを見かけることがあります。

 

ご依頼のものは経年とご使用でシミや黒ずみが多く革が乾燥して

ひび割れた箇所もありました。

 

プレーンな顔料仕上げの革でしたらオイルやワックスを浸透させて

ケアができ劣化の進行を抑えることができますがヌメ革は素仕上げなので

油分や水を使うと色が変わってしまうのでそれができません。

 

ヌメ革は経年で色がアメ色に変化して味わいにもなっていきますが

一線を超えるとどうしても薄汚れたような使用感が出てしまいます。

 

お客様はさすがにこの状態だと家にお客様も呼べず捨てるしかないと

思ったそうですが座り心地もよく気に入っておられ

ある時革のイスがカラーチェンジできることを知られてそうで

修理できる業者を探され当方のキャブチェアの修理ブログを

ご覧になってお問合わせをいただきました。

 

ヌメ革の場合　エイジングで変化した色に合わせて同色に近い色にも

できますが黒ですと汚れても目立たずケアもしやすいのでご依頼される方が多いです。

 

修理ですが染料で下染めをして色の土台を作り顔料（油性）と塗布して色を均一に

する染め直しとなります。

顔料は染料より褪色しにくく塗装の薄い膜ができるのである程度水分に強くなるメリットが

あります。

 

カラーチェンジの修理の工程として

・イスなので汚れておりクリーニングしてしっかり汚れを落とす

　染み込んだ手垢などの皮脂を脱脂処理も行います。

・軽く研磨して下地をならし塗料の密着性を上げる下処理

　イスは座るものなのでしっかり塗料が定着するようにていねいに

　時間をかけて行います。

・非施工面のマスキング

　座面裏は一部革がかぶっていません。

・脚の部分のコバ面の樹脂の再生

　本来は硬い樹脂ですがイスの脚部は使用でぶつけたりすれたりするので

　荒れていることが多いです。

　長さがあり四箇所なので時間がかかる修理となります。

　樹脂がしっかりのると強度に加え見映えもよくなり仕上がりよくできます。

・黒い染料で下染めし色の土台を作る

　堅牢な厚い革で染み込みの差異がでますので回数を多くして

　ムラを少なくできるようにします。

・黒い顔料（油性）を塗布して色を均一にする染め直し

　面積があるのでムラが出ないよう確認しながら進めます。

・仕上げに色止めとツヤの調整のクリアー塗装

となります。

 

ご依頼は四脚でしたが一度に全部修理すると座るイスがなくなってしまうので

二脚ずつお持ちいただきました。

 

キャブチェアはほぼ全面が革なので塗る面積も大きく体重がかかるものなので

塗料がしっかり定着するように下準備に時間がかかりますが色もしっかり乗って

黒い色もはっきりしましたので使用感は大きく薄れました。

高額なイスを処分することなく再生できましたので気分も新たに

使っていただけます。

お客様にも仕上がりをたいへん喜んでいただくことができました。

ご依頼をいただきありがとうございました。

 

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