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革修理ブログ
2024/05/15
【HERMES バッグ 修理】 エルメス ガーデンパーティ 持ち手のステッチ切れ 角の色はげを修理して目立たなくしました
こんにちは
革研究所 世田谷店です。
エルメス ガーデンパーティ バッグのご紹介です。
キャンバス生地のタイプで革の色はこげ茶となります。
革は硬いシボ(シワ)の深い丈夫な素材ですが四隅がすれて色がはげ目立ちます。
使用感が出て気になるので修理してきれいにしてほしいとのご依頼をいただきました。
合わせて持ち手の付け根のステッチが切れた箇所があり縫製し直しと
コバ樹脂がはがれていましたので再生しました。
Before
After
Before お客様ご自身ではげた箇所をマジックのようなもので
補色されたようで黒っぽくなった箇所が残っていました。
After
Before
After
Before バッグに底鋲がないので底面は傷みやすいです。
After
Before こちらも補色された色が残っていました。
After
Before 持ち手はご使用ですれ色がはげていました。
After 補色・補修してコバ面の樹脂を再生しました。
Before
After
Before 底面は汚れて白っぽくなっていました。
After
Before
After ステッチ切れの箇所はミシン縫製ではなく手縫いで戻しています。
エルメスのガーデンパーティのバッグは名前の通り園芸用の道具を入れるバッグをモチーフに
作られたものですがエルメスのバッグの中でもカジュアル使いができ物も入れやすく
中に仕切りがなくたくさん収納できるので使い勝手がいいバッグだそうです。
素材や色・大きさのバリエーションも多いので修理のご依頼もさまざまな物をお持ちいただきます。
ご依頼のバッグは大きいサイズのキャンバス生地のもので生地自体は目立つ汚れやシミなどは
ありませんでしたが四隅の角すべてがすれて色がはげた状態になっていました。
革は厚みのある丈夫な素材ですが奥行きがあり四角いデザインなので
物がたくさん入れられることもありご使用でぶつけたりするとどうしてもすれるので傷みやすいです。
革のシボ(シワ)が深いですが起伏が甘くなった状態でしたので長いご使用が分かります。
色はげが軽度な段階でご自身で修理されたようでこげ茶色ですがその色より濃い色の
補色の跡がありました。
おそらくマジックのようなものを使われたのだと思います。
その後経年とご使用で色はげの範囲も広がってしまったようで
一目でブランド品だと分かるバッグなので傷みがあると人目に触れることもあり
普段使いで気になってしまいます。
お客様は使いやすく気に入っているので修理されようと思い当方のガーデンパーティの
修理ブログをご覧になってお持ちいただきました。
修理のご希望は
①四隅の色はげ・持ち手のすれ・革部全体の修理
②持ち手のコバ樹脂の再生
③持ち手付け根のステッチ切れの縫製
となります。
先に修理方法と仕上がり感を説明してご了承をいただき進めます。
最初に③のステッチ切れの箇所の縫製を行います。
縫製修理はミシンが通常ですが一度製品になったものでミシン掛けがしずらい箇所でしたので
力のかかる箇所ということもあり手縫いで縫製し直す方法にしました。
糸も太めのものを使用しましたのでしっかり固定することができました。
続いて革部のクリーニングをしっかり行い汚れを落としてから修理を行います。
●四隅の色はげの工程
表皮が削れて革が荒れた感じになっていましたので軽く研磨して段差をならし
周りになじむようにしますがシボの深い革なので研磨しすぎるとそこだけ感じが
フラットになるのである程度までとします。
次に色合わせをして塗料を調合し補修溶剤といっしょに少しずつ浸透させて
感じや色を合わせていきます。
修理は箇所が広がらないようピンポイントで行い補修跡が目立たないようにします。
部分が終わったら革部全体に補修溶剤を浸透させてすれ・革質を改善し
革に潤いを出すようにします。
仕上げに色止めとツヤ感の調整のためのクリアー塗装をしますので
自然なツヤ感になります。
●コバ樹脂の再生
はがれた面を研磨して荒れた感じを抑えた後樹脂を積層していきます。
樹脂は元は液状なので一回では厚みが出ないので塗布・乾燥を繰り返し
ある程度厚みが出たら研磨して形を整えていきます。
時間のかかる作業ですが元のように丸い形に戻すことができました。
ご依頼のバッグはステッチの色が白なので色がにじまないようしなければならず
慎重に作業を行いましたが補修溶剤の効果でカサついていた革にも潤いが戻りました。
色合わせしましたがおおむね色も合いましたので四隅の色はげや
荒れた感じは収まり使用感は薄れました。
気になる点は改善できましたのでまた長く使っていただけます。
お客様にも仕上がりをご満足いただくことができました。
ご依頼をいただきありがとうございました。
傷みが少ないうちに修理すると仕上がりもよく費用を抑えることができますので
傷み始めたら早めの修理をおすすめします。
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