革修理｜東京都 世田谷区の革修理なら革研究所 世田谷店

こんにちは

革研究所 世田谷店です。

 

ダニエル＆ボブ トートバッグのご紹介です。

とても大きなバッグで厚みはありながら柔らかさもある丈夫な牛革製です。

使い込んだ味わいがありますが色ムラが大きく角や四隅は色がはげ

くたびれた感じがありました。

使用感も出てきて気になるので黒にカラーチェンジしてほしいとのご依頼です。

合わせて持ち手付け根の傷みがあり

「根革交換」と「底面の縫製ステッチの糸のほころび」を直す縫製修理を行いました。

 

Before　　

After

Before　　　　

After　　　

Before　長いご使用で「テカリ」がかなり出ていました。

After　ツヤ感も落ち着き自然な感じになりました。

Before　芯材のないバッグで革が厚くふくらむ部分はすれて色がはげていました。

After  　

Before 　

After

Before　持ち手を支える根革部分が重みで傷み切れそうになっていました。

After　根革は本体と一体型でしたので強度を考え厚みのある丈夫な一枚革を使い

　　　　本体に挟み込んで縫製をしました。

After　カラーチェンジすると元からのデザインだったようになじんで見えます。

Before　底面のステッチ糸がほころび広がってきていました。

After 　同じ糸はないので二重にして太さも出し周りになじむようにしました。　

After  カラーチェンジすると跡は目立たなくなりました。

Before

After  ファスナーの生地はカラーチェンジもできますがポリエステル素材なので

　　　　密着性が弱く使用していくと色落ちするので現状としました。

　　　　ファスナーを開けた状態だと下に下がるので見えづらくなるので目立つことはありません。

 

ダニエル＆ボブはイタリアの革製品のブランドでシンプルなデザインで機能性もあり

良質な素材にこだわって作りもいいので人気の高いブランドだそうです。

「ローディ」と呼ばれる製造に手間と工数のかかる染色とシワ加工で作られた革は

とても味わいがあります。

作られているバリエーションも多いのでバッグなどの修理のご依頼をよくいただきますが

拝見するたびに素材と作りの良さを感じこだわりのある製品だという印象が強いです。

 

ご依頼のバッグもとても厚みのある革で丈夫ですが柔らかさも兼ね備え

質感のよさが伝わってくるものでした。

状態はといいますとバッグ本体が「B4」より大きなサイズで前面・後面・左右のマチの

部分 四面にすべてポケットがついており自重があるので物を入れると相当な重さになるので

角や四隅がすれて色はげがあり目立ちました。

また革の質感や風合いを出すため染料主体の薄い仕上げになっており経年とご使用で

色が薄くなって抜けたところがあり大きさがあるバッグなのでムラ感が強く出ていました。

 

染料系で仕上げられたバッグは最初のうちはいいのですが一定の線を超えると

ムラが出たり色抜けして薄くなったり変色するとどうしても強い使用感として出てしまいます。

 

お仕事で使う場合だとさすがご依頼のバッグのようなムラになった感じが強いと

人目に触れることもありどうしても気になってしまいます。

 

お客様は修理しようと業者を探されたそうで当方のダニエル＆ボブのバッグの修理ブログを

ご覧になってお問合わせをいただきました。

修理は同じ色に戻すのではなく黒へカラーチェンジしてほしいとのご希望です。

 

今回の修理は

●底面のステッチ縫製のほころび

●持ち手の根革の傷んだ箇所の根革交換

と工程の違う縫製がありましたので先に縫製修理を行ってからバッグ本体の

革部の修理を行いました。

 

カラーチェンジですが基本

薄い色から濃い色へが可能です。

カラーチェンジしたい色が元の色の濃さ以上でも可能ですが

黒やこげ茶などは下染めといって先に染料で色の土台を作ったあと顔料で本塗装ができ

塗装が二回になるのでよりムラなく・色濃くなるので仕上がりよくできます。

 

カラーチェンジの工程は

●クリーニングして汚れを落とし皮脂など染み込んだ脂分を抜く脱脂作業

　経年で汚れているのでしっかり行います。

●バッグ全体を軽く研磨して塗料の密着性を上げる下準備

　ご使用でテカリも強く出ており表面がつるっとした状態でしたので時間をかけて

　もれなく各面を研磨していきます。

●非施工面のマスキング処理

　四面全部にポケットがありバッグ口もフタつきでファスナーもありマスキングしなければ

　ならない箇所が多く手間がかかります。

●黒い染料で下染め

　下染めの段階でカラーチェンジしたい色にある程度できると本塗装で使う塗料の量を少なくでき

　より革の風合いや質感を維持できますので時間をかけて塗布と乾燥を繰り返し行いました。

　革質も良かったので染料の浸透もよくムラ感も大分治まりました。

●革の補修溶剤を浸透させてすれ・革質を改善する下準備

●黒い顔料（油性）を塗布して色を均一にする染め直し

●仕上げにクリアー塗装を行って色止め・ツヤ感の調整

となります。

 

下染めでしっかり色が入りましたので顔料の塗布も少なくでき革質も良かったので

補修剤の効果もよく革も潤いが出てしっとりした感じになりました。

 

ムラ感が強かったのでその感じが多少残るのではという懸念がありましたが

その感じは出ずにまさにまっ黒にすることができました。

きれいにカラーチェンジすることができ使用感は大きく薄れました。

 

雰囲気は大きくかわりましたので気分も新たに使っていただけます。

お客様にも仕上がりをたいへん喜んでいただくことができました。

縫製・カラーチェンジと納期がかかり長らくお待たせしましたが

ご依頼をいただきありがとうございました。

 

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